2021-01-03から1日間の記事一覧

河井酔茗傑作詩篇 2

葉 一言の葉を開くにも心より 生生とひらき出でたるこころよさ、 一言のたましひのわづらひに 口ごもりて力なき葉は地に落つる。 活動に覺めたる時は貝の葉を 蒼海の深きに探りはぐくみて 濃き油其葉に盛れば生命ある くれないゐの潮火となり燃ゆるらむ。 若…

河井酔茗傑作詩篇 1

霧降る宵 ひやひやと霧降る宵の 街の樹は遠のくすがた 家と家、遙かに對ふ あざやかに靑き葉選顫ふ 街の灯の疲れしかげに 消ゆる人、現はるる人。 晝見たる文字の象も 色彩も、ありとや想ふ すかしみる闇の深みに。 轟きは彼方に消えて 大都會もの輕やかに …