2021-02-28 酔茗傑作選7 火の色 深海の底に沈める 室の氣は重げに落ちぬ 微なる人の寢息は おぼめきぬ。 花のランプ 宵のままかがやき燃ゆれ 油吸ふ力をこめて またたくや火の葉はあへぐ。 今、外は暁闇の 星宮に残れる光 うすれゆく眼路の極みに 見うしなふ。 薄ら明 光こそ地には下りざれ 室はなほ夜のさまして 窓惟の隙こそ見えね。 乾きたる炎の衰弱 終夜倦み疲れし色の 蒼白く燈火やつる 夜明前。