河井酔茗に酩酊

河井酔茗の詩集、昭和18年の『真賢木』と昭和21年の『花鎭抄』ともに金尾文淵堂からから出版されたものを手に入れた。

昭和21年の詩集は全部は確認できていないが、収録詩篇は既刊詩集からの選んだものであり、「選詩集」としょうすべきもの。奥付の裏面に広告があって、次に「近刊」として酔茗の『第七詩集』の名がある。実際に出版されたのかどうか・・・・。

 次の行に『眞賢木』(品切)とあって驚いた。この詩集の奥付に(二、〇〇〇部)と発行部数が示されているからだ。ただ、この広告の表記は「眞」とあるが実物の表紙、扉には「真賢木」とある。ただし、扉したのもの、目次、詩篇タイトルは旧字体の「眞」になっている。

 今、ためしに「選詩集」と呼んだものと、既刊のものと表現を比べてみた。たとえば、ある詩篇は全行が直してある。が、そのすべてが漢字をひらがなにしたり、ルビを入れたり取ったりする程度で、行の書き換え等はなかった。

 酔茗は岩波文庫の『酔茗詩抄』の昭和23年第三刷の刊行時の「後記」に「私は一旦活字となって發表された自分の作品には殆ど手を入れない主義である。」と書いているが、その通りなのだなと実感できた。蒲原有明とは違うんだなあと妙に感心した。